松本清張全集22 屈折回路、象の白い脚、砂の審廷

松本清張全集22 屈折回路、象の白い脚、砂の審廷
468p 文芸春秋

*屈折回路〜174p
従兄の香取喜曾一が 熊本で 自殺した。私は、自殺の原因が気になり 香取の妻 江津子に会いに 東京から、熊本に向かった。
そこで、衛生試験所に 勤めていた香取が、死ぬ前に わざわざ 北海道に 赴いていることを 知る。自殺の原因に関係するのではないかと 思った私は北海道に 向かった。

*象の白い脚 177p〜360p
ラオスのビエンチャンで、友人の石田新一が 死んだ。谷口は、石田の死の謎を解くべくビエンチャンに向かう。そこで 通訳に雇った山本実に、石田の死ことを相談。ところが 今度は、その山本が 行方不明になる。

*砂の審廷 小説東京裁判 361p〜
大川周明を中心に東京裁判を描く。

あとがき 色川大吉


いずれも戦争の影が 色濃い気が する。

最初のは、石井部隊の影を見せつつ、アメリカの細菌戦術も意識したポリオ事件を扱い、次のは、アヘン禍の張本人のアメリカが 陰に潜み、最後は 東京裁判だ。

私は、大川周明を 知らなかった。
この「砂の審廷」のなかで 大川は、
「私は 国際軍事裁判を 正常な控訴手続きであるとは 初めから考えていない。私はこれを 軍事行動の一種であるとしか思わない。《中略》従ってこの裁判は軍事行動の一種であり、法廷はとりもなおさず戦場である。若し私が老年でなかっとすれば、私は既に何年か前に応召して征途に上り、或は戦場の露と消えていたかもしれない。降伏後の日本に生き残って今度の戦犯容疑者に指名されたことは、謂わば最後の召集令を受け取ったようなものであり、巣鴨に往くのは戦場に赴くに等しい。出征に際しては、生還を期せぬことが日本人の心意気である。この裁判で如何なる判決を受けようとも、それは戦場で或は負傷し、或は戦死するのと同然である。それに対して毛頭不平不満の念はもつまい、と覚悟を決めてた」と言っている。

そうやって受け入れたのかと戦犯たちの心情を見た気がした。

また
「それが 公正な審理の確保というのかね?ふん、みせかけだけだね。アングロサクソン一流の更正の見せかけだよ。そんな猿芝居で 真に公正な裁判が 出来るはずはないよ。」
と書いている。

なんだか あのサダム・フセインもが 言いそうな言葉だ。

内容が 濃いので 読むのに 時間が かかった。

松本清張 - 10:03 - - - trackbacks(0) -

「松本清張全集〈21〉小説東京帝国大学,火の虚舟」

「松本清張全集〈21〉小説東京帝国大学,火の虚舟」
499p文芸春秋

*小説東京帝国大学
〜p346
明治35年私立哲学館(現東洋大学)で行われた卒業試験の倫理学の試験で、文部省の隈本視学官によりが最優秀と評価された工藤の解答に「弑逆」と言う文字を見つけ問題視した。
サンデー毎日連載(40.6.27〜41.10.23)
*火の虚舟
p349〜p488
中江兆民(篤介)の伝記
文藝春秋 連載(41.6〜42.8)

解説 青木晨

*小説東京帝国大学
「東京帝国大学」と言う題名ながら 最初の部分は、哲学館と文部省との『官』『学』の戦いで 途中からやっと 東京大学と文部省の戦いになる。が、気がつけば それも『政』が 関知している。
史実に 基づいているようで 実名がバンバン出てくるけど、大学教授たちと 文部大臣との戦いは、ドロドロしていて すごい。教授たちが 気の毒だ。
先日 読んだ新書とは違って、ちょっと週刊誌のネタっぽい 裏話の気分で 読んでしまった。

山県有朋 なんか すごい黒幕に見えて、当時の政治家の様子を つい思い浮かべてしまった。

いずれも 宮様に関しては 触れては いけない部分のようだ。今の時代ならもっと自由だろうけど明治だと難しいのかもしれない。

*火の虚舟
以前 なだいなだ氏の児童向けの「TN君の伝記」を読んで以来。
あの時代の学生さんて違うなぁ。

読んでいて、土佐の話しだし 坂東真砂子 の「梟首の島」を思い浮かべた。

ミステリーではなく ノンフィクション的なほうの清張。

題名は、兆民の『一年有半』の中の「我儕は是れ、虚無海上一虚舟」の中から。

ちなみに、虚舟とは、何の束縛もなくわだかまるところのない心。

松本清張 - 08:39 - - - trackbacks(0) -

松本清張全集20 落差

松本清張全集20 落差
453p文芸春秋


読売新聞朝刊36.11.12〜37.11.21掲載
大学で教鞭をとる、島地章吾は、列車の中で、同僚の細貝貞夫の妻、景子に出会った。
進歩的な歴史学者だった、細貝だが、時流に乗れず生活に困って古本屋を開こうかと考えていた。


大学教授と教科書執筆でもたらさる裏金、教育界との癒着 そして 女癖の悪い島地と周りの女性たち。

古い時代の話だけれど、おそらく今もそんなに 変化ないかもしれないと思えるから怖い。

二段組の453pは 長かった。

久しぶりの清張。

それにしても島地は 同僚や 友達の美人の奥さんに 手を出すとんでもない 大学教授。今なら即 裁判沙汰だよ。
女のほうも 黙っちゃいないだろうけど、この時代は 黙って耐えちゃう女性ばかり。
しかし、島地の歴史観や教科書採択のことなど時代には関係ないことも大いにあるので、やっぱり面白い。

これで今月はクリア〜♡

松本清張 - 14:31 - - - trackbacks(0) -

「火と汐」松本清張

「火と汐」松本清張全集19
P345〜P413

曾根晋吉は、芝村美弥子と 京都に 不倫旅行に出かけた。
ところが その夜 突然美弥子が ホテルから消えた。
晋吉は そのことを、公に出来ない。
一体 美弥子は どこに 消えたのか。

推理過程は、面白いけど 何で?と言う疑問が少し残った。






松本清張 - 16:24 - - - - -

「砂漠の塩」松本清張

「砂漠の塩」松本清張全集19
P167〜P342
1966年、第5回婦人公論読者賞の作品。

泰子と、真吉は 若い頃の気持ちの行き違いで互いに 想い合っていたのに 結ばれなかった。
分かり合えたときには、既に お互いに家庭をもっていた。
愛情は 深かったのにうまく結ばれなかった二人が取ったのは、誰にも知られないところでの心中。
その場所は、中東の砂漠。

まあ 今なら 即離婚して結婚だと思うけど そうしないところが 古い。

カイロ、ダマスカスなど、とても行けそうにない中東の旅行。
きっと今でもこんなのじゃないかと思って読んだ。

泰子たちの逃避行が 日本の家族に わかってからが ちょっとハラハラドキドキ。


松本清張 - 15:06 - - - - -

「霧の旗」松本清張

「霧の旗」松本清張全集19
〜p194
柳田桐子は九州から 高名な弁護士大塚欽三に 殺人容疑で捕えられ、死刑の判決を受けた兄の弁護を依頼するために、上京してきた。無罪を信じて、懇願するが、弁護料も支払えない事情を話すと すげなく断わられる。兄は、一審で殺人犯とされるが控訴。しかし途中で獄死する。

ああ、これって読んだっけなぁと思いつつ、再読。
やはり面白いな。
時代背景なんか吹っ飛ぶ。

松本清張 - 11:26 - - - - -

「波の塔」松本清張

「波の塔」松本清張
松本清張全集18
文藝春秋p408
解説 富岡多恵子

R省の局長、田沢の娘・輪香子が木曽へ旅に出、偶然にもO.T.(小野木)という不思議な青年に出合った。
次に、友人と和子といった深大寺で、偶然に出合った時は、 その青年は美女と一緒だった。
しかし呉服屋の娘の和子に言わせると 着ている着物のから、その女性(頼子)はいい所の奥さんに違いない という。
その青年と三度目に 出合ったときは 友人の結婚式で、初めて青年の名前を知る。
彼は、花婿の友人で、春に検事になったばかりの 小野木喬夫だった。

不倫関係?事件?

もう どうなるのかと思って、次々にページを 繰ってしまった。
途中 台風のシーンもあって、なんだか 読む時期が、ドンぴしゃりの感じ。
まあ 古い話なんだけど そんなに昔の感じは受けす、小野木と頼子の関係もすんなり受け入れられる感じで、やっぱ松本清張はすごいわ〜。
これは 恋愛物語なんだって!

松本清張 - 15:26 - - - - -

「小説帝銀事件」松本清張

「小説帝銀事件」松本清張17
p355〜p485
あの有名な事件。帝銀事件の話。
帝国銀行に東京都の職員を装った中年の男が訪れ、16人の行員に青酸化合物を飲ませ、12人を死亡させたうえ現金約16万円余と小切手一枚を奪った実在の事件をテーマに書かれた。

なんだかわけのわからない事件なのだが、ここでは、人権とか、科学捜査のあり方とかまだまだ確立できていない 当時を知ることが出来る。
警察は警察で、頑張っていたのだろうが、見込み捜査とかが伺える。

松本清張 - 10:53 - - - - -

「象徴の設計」松本清張

「象徴の設計」松本清張全集17
P193〜P352
西南の役 以降の日本。
山縣有朋の話。
武士社会から明治に入り、武士は藩主への忠誠を 持っていたが いまはいない。
しかし近代国家たる日本は、軍隊をもたねばならないと考えている。
そこで 有朋は、日本人の忠誠の相手を 何にするか考え抜き、天皇とする。

この時代の人がどう考え 日本という近代国家の基礎を作っていったかよくわかる。
西周や伊藤博文 板垣退助など名前を知っていても、今ひとつわかっていなかった人物達が よくわかった。

松本清張 - 06:46 - - - - -

「北の詩人」松本清張

「北の詩人」松本清張全集17
〜p190
1945年〜1953年、戦後混沌とした朝鮮半島での話。
大いなる天才詩人 林和(イムファ)が 何故同志を 裏切ることになったのか。国際陰謀の話。

松本清張 - 07:10 - - - - -

| 1/2PAGES | >>