松本清張全集22 屈折回路、象の白い脚、砂の審廷
2007.04.12 Thursday
松本清張全集22 屈折回路、象の白い脚、砂の審廷
468p 文芸春秋
*屈折回路〜174p
従兄の香取喜曾一が 熊本で 自殺した。私は、自殺の原因が気になり 香取の妻 江津子に会いに 東京から、熊本に向かった。
そこで、衛生試験所に 勤めていた香取が、死ぬ前に わざわざ 北海道に 赴いていることを 知る。自殺の原因に関係するのではないかと 思った私は北海道に 向かった。
*象の白い脚 177p〜360p
ラオスのビエンチャンで、友人の石田新一が 死んだ。谷口は、石田の死の謎を解くべくビエンチャンに向かう。そこで 通訳に雇った山本実に、石田の死ことを相談。ところが 今度は、その山本が 行方不明になる。
*砂の審廷 小説東京裁判 361p〜
大川周明を中心に東京裁判を描く。
あとがき 色川大吉
いずれも戦争の影が 色濃い気が する。
最初のは、石井部隊の影を見せつつ、アメリカの細菌戦術も意識したポリオ事件を扱い、次のは、アヘン禍の張本人のアメリカが 陰に潜み、最後は 東京裁判だ。
私は、大川周明を 知らなかった。
この「砂の審廷」のなかで 大川は、
「私は 国際軍事裁判を 正常な控訴手続きであるとは 初めから考えていない。私はこれを 軍事行動の一種であるとしか思わない。《中略》従ってこの裁判は軍事行動の一種であり、法廷はとりもなおさず戦場である。若し私が老年でなかっとすれば、私は既に何年か前に応召して征途に上り、或は戦場の露と消えていたかもしれない。降伏後の日本に生き残って今度の戦犯容疑者に指名されたことは、謂わば最後の召集令を受け取ったようなものであり、巣鴨に往くのは戦場に赴くに等しい。出征に際しては、生還を期せぬことが日本人の心意気である。この裁判で如何なる判決を受けようとも、それは戦場で或は負傷し、或は戦死するのと同然である。それに対して毛頭不平不満の念はもつまい、と覚悟を決めてた」と言っている。
そうやって受け入れたのかと戦犯たちの心情を見た気がした。
また
「それが 公正な審理の確保というのかね?ふん、みせかけだけだね。アングロサクソン一流の更正の見せかけだよ。そんな猿芝居で 真に公正な裁判が 出来るはずはないよ。」
と書いている。
なんだか あのサダム・フセインもが 言いそうな言葉だ。
内容が 濃いので 読むのに 時間が かかった。
468p 文芸春秋
*屈折回路〜174p
従兄の香取喜曾一が 熊本で 自殺した。私は、自殺の原因が気になり 香取の妻 江津子に会いに 東京から、熊本に向かった。
そこで、衛生試験所に 勤めていた香取が、死ぬ前に わざわざ 北海道に 赴いていることを 知る。自殺の原因に関係するのではないかと 思った私は北海道に 向かった。
*象の白い脚 177p〜360p
ラオスのビエンチャンで、友人の石田新一が 死んだ。谷口は、石田の死の謎を解くべくビエンチャンに向かう。そこで 通訳に雇った山本実に、石田の死ことを相談。ところが 今度は、その山本が 行方不明になる。
*砂の審廷 小説東京裁判 361p〜
大川周明を中心に東京裁判を描く。
あとがき 色川大吉
いずれも戦争の影が 色濃い気が する。
最初のは、石井部隊の影を見せつつ、アメリカの細菌戦術も意識したポリオ事件を扱い、次のは、アヘン禍の張本人のアメリカが 陰に潜み、最後は 東京裁判だ。
私は、大川周明を 知らなかった。
この「砂の審廷」のなかで 大川は、
「私は 国際軍事裁判を 正常な控訴手続きであるとは 初めから考えていない。私はこれを 軍事行動の一種であるとしか思わない。《中略》従ってこの裁判は軍事行動の一種であり、法廷はとりもなおさず戦場である。若し私が老年でなかっとすれば、私は既に何年か前に応召して征途に上り、或は戦場の露と消えていたかもしれない。降伏後の日本に生き残って今度の戦犯容疑者に指名されたことは、謂わば最後の召集令を受け取ったようなものであり、巣鴨に往くのは戦場に赴くに等しい。出征に際しては、生還を期せぬことが日本人の心意気である。この裁判で如何なる判決を受けようとも、それは戦場で或は負傷し、或は戦死するのと同然である。それに対して毛頭不平不満の念はもつまい、と覚悟を決めてた」と言っている。
そうやって受け入れたのかと戦犯たちの心情を見た気がした。
また
「それが 公正な審理の確保というのかね?ふん、みせかけだけだね。アングロサクソン一流の更正の見せかけだよ。そんな猿芝居で 真に公正な裁判が 出来るはずはないよ。」
と書いている。
なんだか あのサダム・フセインもが 言いそうな言葉だ。
内容が 濃いので 読むのに 時間が かかった。